思った通りの音声が得られる台本の書き方とは?

2020年8月6日シナリオについて, 音声作品をつくろう!

٩( ᐛ )و < よおし!台本を書くぞ!

けど、何を使って書いたらいいんだろう?形式は?横書き?縦書き?
演技指定ってどんな風に書くの?フォントは?文字サイズは?文字色とかも変えるの?喘ぎ声ってどう書けばいいの?

このページでは、そんな疑問にお答えいたします!

まずはお手本を見てみよう!

ということで、僭越ながらお手本となる台本をご用意いたしました。新規書き下ろしです。
少なくとも、兎月りりむ。に依頼する場合はこちらの台本に何もかもを沿っていただければ大丈夫です。
では、ご覧ください!


台本例
こちらの台本はWordで制作しました。
ぜひ、元データをこちらからダウンロードして使ってください。
(Word持ってないよという方は、OpenOfficeを使ってください。)

どんなところに気をつけて書いたの?

ずばり、
・読み上げやすい
・指示が分かりやすい
という点に気をつけて書きました。

では、どうすれば声優さんにとって「読み上げやすく、指示も分かりやすい」台本となるのでしょうか。
一つずつ見ていきましょう!

まず、トラックと内容の表記をしよう。

トラック○○ + プレイ内容(概要)

をまず表記しましょう。

※例1:トラック1(耳かき)
※例2:トラック2(囁き手コキ)
※例3:トラック3(寝かしつけ)

声優側は例1を見た時に、
「ああ、この章のメインコンテンツは耳かきなんだな。ゆったりめに話そう」
と即座に思い至ることができます。

書き手「読めばわかることなのだから、書く必要なくない?」
確かに、本収録に入る前に台本を読み直せばおおよその中身は分かります。
私も含め、ほとんどの声優さんは事前に読んでいるはずです。
台本の中身を確認する時、声優さんの頭の中は内容を整理しよう、把握しようと頭を働かせています。

しかし、いざ本収録になった時。
声優さんたちは一体何に頭を使っていると思いますか?
そう、演技です。最高の演技をするということに重点を置いて、頭を使っています。
ここは緩急をつけて、ここは声を大きく、ここは不安を滲ませて…などなど、様々な演技に関する工夫を頭の中で思い描いています。

そんな中、親切に作ってある台本というのは100%の演技を120%のものにしてくれます。
(限りある頭脳のキャパシティを演技だけに集中させることができるからです。)
逆もまた然りで、不親切な台本であればあるほど、100%の演技をできたはずが、80%の力しか出せなかったりもします。
(限りある頭脳のキャパシティを演技だけでなく、内容整理に割かねばならなくなるからです。)

限られた時間の中で、我々声優はできるだけ最高の演技をしなければなりません。
人気の声優さんになればなるほど、1案件に割ける時間は当然少なくなるでしょう。
不親切な台本のために、より多くの時間をかけて台本を組み直して、何度も収録中にリテイクを重ねて、そのなかで演技に工夫を凝らして…ということは、当然できなくなってきます。
そんなとき、親切に書かれた台本であれば、少なくとも本収録時は演技のみに集中することができます。
演技以外の余計なことを考える必要がなくなるのです。
声優さんは頭のキャパシティに余裕が出るわけですから、当然より良い仕事をしてくれる可能性が高まります。

声優声優と声優側の都合ばかりを述べているように見えるかもしれませんが、結果的にこれはクライアント側に利益をもたらします。
リテイクを出さなくて済むかもしれませんし、リテイク出しのためのメモ書きを用意する必要がなくなるかもしれません。
声優さんと何度もやりとりをするコミュニケーションコストだって削減できます。
作業が早ければ早いほど、作品リリースまでの時間も短縮できるでしょう。

「限りある予算と時間のなかで、最上クオリティの成果物を手に入れたい」

と、もしあなたが考えるのであれば、手間を惜しまず丁寧に執筆していきましょう!

効果音(SE)の記載・網掛けをしよう。

SEの記載は半分は自分用です。編集する時に台本がそのまま指示書になるので作業がしやすくなります。
一方で声優さんにとっては、網掛けの部分は読まなくていい箇所として分かりやすく視覚で認識できるので、こちらも作業がスムーズになります。ストレスなく作業ができるって、非常に大事です。

演技指示をセリフの前に書こう。

ところどころカッコ書きで演技指示がついていたと思います。すべてのセリフに付けているわけではなくて、重要なセリフにのみ演技指示をつけています。
作中、緩急をつけたり、登場人物の心情を効果的に演出したいがために、一部分のみに演技指示をつけています。(というより、一部分に指示をつけるだけで十分です)
ここで大事なのは、必ず演技指示はセリフの前につけるということです。基本的には台本を上から順に読んでいきますから、セリフの後に演技指示をつけられると見逃してしまうわけです。
当然そのセリフは読み直し。リテイクとなります。必ず演技指示はセリフの頭に記載しましょう。

演技指示が有効な範囲を示そう。

こちらをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みなさんならどのように演じますでしょうか?

例えば最初の「こしょこしょ」というセリフ。
一行目の「こしょこしょ」のみを無声音囁きで演じますか?
それとも、最後の「こしょこしょ」まで無声音囁きで演じますか?

三つ目のまとまりのセリフはどう演じればよいでしょう?
一行目のみ無声音囁きで演じますか?
それとも、喘ぎ声らしきところも無声音囁きで演じますか?

自信をもってこうだ!と思って演じる方もいらっしゃったでしょうし、迷いつつ自分ならこう演じる…
という方もいらっしゃったと思います。
一般的には、演技指定①が入った場所から演技指定②が入る場所の手前の行までは、演技指定①に基づいて演じることが多いとは思います。
つまり、「こしょこしょ」が書いてある行すべてが(右。無声音囁き)で演じられるということです。

では、正解はどうしたらよいでしょうか?
正解は………、依頼者さんの頭の中にあるのです。
つまり、演技の指定の有効範囲は明確に指定してもらわなければわからない

もし、演技指定の範囲にこだわりがある場合は、
(右。無声音囁き)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(←ここまで)
といったように、どこまで演技指定が有効なのかを必ず記載しましょう。

一行あたりのセリフの長さを工夫しよう

まずはこちらをご覧ください。実際に収録する時に声優が見ているサイズの台本です。

内容は先ほどお見せしたものと同じです。
先ほどの台本と、今回の台本、実際に声に出して読み比べてみてください。
………。
さて、どちらが読みやすかったでしょうか?
多少は感性の問題があるので、人によって意見が分かれるところだとは思いますが…。
結論から申し上げますと、1番目の台本のほうが読みやすいです。
1行あたりのセリフが多すぎず、目がすべりにくい。
また、どこで音を区切ればよいのか一目瞭然なので、演じる際とてもスムーズ。

ということで、セリフを書く際は、目で見た時に視認しやすい長さに区切って執筆するとよいでしょう。
一行あたりのセリフが長すぎると、リテイクを産み、声優さんの集中力を削ぎます。
1テイク目というのは神がかり的に良い場合が多いのです。集中力、体力が万全の状態ですからね。
その貴重な1テイク目を逃さないためにも、セリフの書き方は工夫をしましょう。

(小話)長すぎるセリフは演技に幅がうまれる

前項の話に関連する小話をひとつ。突然ですが以下のセリフを読んでみてください。

「あなたが好き。私はあなたの優しいところもおっちょこちょいなところも焼きもち焼きなところも全部全部愛してるの。」

一息で読み切った方もいれば、思い思いの箇所で区切ってセリフを読み上げた方もいたのではないでしょうか。
筆者だったらこう読みます。

「あなたが好き…。わたしは、あなたの優しいところも、おっちょこちょいなところも、焼きもち焼きなところも全部…ぜんぶ、愛してるの!」

きっと読者さんとはまったく違った読み方をしているはずです。人それぞれイメージがありますから。
肺活量がある方なら無理やり一息で読み切ったかもしれませんし、セリフごとに感情を滲ませたい方なんかは一単語ごとに抑揚をもたせたりしたのではないでしょうか。

というわけで、依頼者の立場に立つと、この長いセリフをそのまま声優に投げた時に、必ずしも依頼者の想定していた演技をされない可能性がでてくるんですね。もしかしたら一息で読み切って欲しいのかもしれませんし、そうではなくて声優さんの色を出して欲しかったのかもしれません。
ひとつ言えるのは、これだけ長いセリフを不自然ではないように一息で演じるのは結構難しい、そして目が滑るので読みにくい、だから多くの声優さんはセリフを区切って読むであろうということです。

ですから、声優さんのためにも、そして依頼者さん自身のためにも、ぜひとも長すぎるセリフは工夫を凝らしてほしいのです。工夫が凝らされていれば声優さんは目が滑らず読みやすくなり、ライターさんはよりイメージ通りのテイクが手に入ることとなります。
もしそんな細かなところはどうでもいい。おまかせしたい。ということであれば台本の冒頭でいいので、「声優さんに演技はおまかせします」と一言添えてあげてください。

キス音「ちゅっちゅ」の演技指定を記載しよう。

突然ですが以下のセリフを読んでみてください。
「ちゅっちゅ。ちゅっちゅ。ちゅ〜〜っちゅ!」

声に出して読んだ方もいらっしゃるでしょうし、いわゆるキス音を出して演じた方もいらっしゃると思います。
では、どちらが正解でしょうか。
答えは………、もうお分かりですね。依頼者さんの頭の中です。というわけで、依頼者さんにはお願いがあります。
キスパートについては、その「ちゅ」という記載が、声に出して読むものなのか、それともいわゆるキス音として演じるべきなのか。
これらを必ず記載してください。私だけでなく、他の声優さんにも喜ばれるはずです。

ふりがなをつけよう。

突然ですが以下のセリフを読んでみてください。

「擦る」「良い」「言う」

「する」「こする」どちらも正解です。「いい」「よい」どちらも正解です。「いう」「ゆう」どちらも正解です。

しかし、依頼者はもしかしたら、「する」と読んで欲しかったのかもしれませんし、その逆かもしれません。
「言う」に関しては、もしかしたら舌っ足らずに読んでほしいのかもしれません。
これを知るためには声優は依頼者にうかがわないと絶対に分からないうえに、
そもそも台本の漢字すべてにチェックをいれて一度確認の連絡をする。というのは手間を考えるとあまり現実的ではありません。(台本は何万字とあるわけですから)

ということで、読み方にこだわりがある場合は必ずふりがなをつけましょう。
もしくは、"本作品における「擦る」という表現はすべて「こする」と読んでください"と一筆添えましょう。

リズミカルに演じて欲しい部分はBPMを活用しよう。

突然ですが以下のセリフを読んでみてください。

「よしよしよしよし。」
「ちゅっちゅ。ちゅっちゅ。」
「ぺろぺろぺろぺろ。」
「あんあんあんあん。」

どんなリズムで読みましたか?人それぞれだと思います。
けれども、きっとライターさんにはイメージしていた速度というものがあったと思います。
そこで、ぜひともこれを活用してほしいのです。メトロノームを。
Googleでメトロノームって検索してみてください。
謎のバーと再生ボタンが表示されたと思います。
複数回、数値を変えて再生ボタンをクリックしてみてください。
もうお分かりですね。
もし対象のセリフをイメージ通りの速度で読んで欲しいのであれば、このメトロノームを活用しましょう。
具体的には、
(BPM100)「よしよしよしよし」
という塩梅に記載すれば良いと思います。
速度について、「早く、遅く、普通に」と演技指定をしてもいいですが、その場合どんな仕上がりになったとしても声優さんはリテイクを快くは引き受けてくれない可能性が高いです。おすすめしないです。

細かな演技指定を書き加えよう。

「ここは最後の盛り上がるシーンだからもっと激しく演じてほしかったのに。」
「ここは恥ずかしがってるところだから、そういう風にリテイクしてください。」
「ここは愛情を感じられるふうにツンケンしてください。」

納品後、よく言われるリテイク理由です。
私の技術不足は承知で申し上げます…。

「だったら最初から台本にそう書いておいてください💦」

確かに、話の流れから察することができる場合もあります。
たまたま依頼者さんとイメージが合致して、想定通りの演技をできていることもあります。
とはいえ、ほとんど偶発的に上手くいっているにすぎないです。
もし、その1セリフに並々ならぬこだわりがあるのであれば、そのセリフを喋っている登場人物の心情について細かく書き記してください。
私が今回書き下ろした台本程度の記載で良いです。
とにかくここは力を入れたいセリフなんだ!という場合は、分かるように細かな演技指定を入れてください。

全てが全て、細かく確認を入れて収録をすることは、宅録の場合は不可能です。その場に監督さんがいらっしゃいませんから。
その場合どうなるかというと、今までの経験則に沿ってここはこういった感じだろう、といった想像でお仕事を進めていくことになります。

例えばですが、全体を通してしっとりと進んでいくお話の場合、そこで登場する濡れ場のシーンはを大人しめに、ゆったりと演じようと考えます。濡れ場だからといって突然激しく演じるということはあまりしようとは思わないわけです。
ですが、クライアント様の中には「全体的にはしっとりとした話だが、盛り上がる部分は緩急をつけたい。」と考えている方がいらっしゃることも理解しています。とはいえ、声優は基本的には渡された情報の中から作品の空気を読んでいくしかないわけですから、「言われてないことは分からない」となるわけです。

私は活動を続けて2年経ちましたが、それでもやはり、分からないものは分からない。
そうなると、今から活動を始める初心者の声優さんたちはもっと分からないはずです。
確かに演技指定を書き加えるのは手間だと思います。でももし並々ならぬこだわりがあるのであれば、必ず記載してやってください。
初心者の声優さんにとって分かりやすい台本というのは、あらゆる声優さんにとっても分かりやすい台本です。
こだわって損はないと思います。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

(小話)でも演技は全部丸投げしたいんだよね…。

いいと思いますよ。声優としても、自分なりの解釈で演じるというのは楽しいことです。
演技を全部丸投げすること、悪いことでは全然ないので安心してください。
ただし、もちろん条件があります。
予想していた演技と異なるという理由で、リテイク出しはしないであげてください。
声優が可哀想、というよりも、依頼者が晒しあげられて炎上する可能性もあると思いませんか?

リテイク出しをしてもいいですけど、その場合は声優さんに要相談。
「演技は丸投げかつリテイク出しは行います。ただし、リテイク分は有償で依頼します。」
など、きちんと事前に相談してあげてください。
基本的には仕事内容は、相互に納得してさえいればどんな契約条件でも◎ですから、とにかく前もって相談することが大事だと思います。

仕上げをしよう。

以上の作業が全て済んだら、最後は仕上げです。最終チェックをしましょう。
・誤字脱字があまりにも多くないか
・言い回しは読みにくくないか
・セリフが長すぎないか
・見にくい構成になっていないか
などなど…。
おおまかにチェックできたら執筆はこれにて終了です。お疲れ様でした!

声優さんに合わせてファイルを保存する。

これを忘れてはいけません。
最終的に声優さんに台本を提出することになると思いますが、そのファイル形式は声優さんごとに変えましょう。
とりあえずword形式で提出すれば間違いないと思います。
pdf、txt、いろいろあると思いますが、私はwordがいいと思います。
声優さんによって読みやすいフォントや行間、文字の大きさなどが異なってくるためです。
私は、受け取り後に微調整が可能なword形式での提出が一番助かります。
公式のofficeソフトを持っていなくとも、OpenOfficeやLibreOfficeで代用可能ですから、ぜひ使ってみてください。
どうしても技術的に分からない…という場合はtxtファイルを引っ提げて声優さんにお願いしてみましょう。
それでも多分大丈夫です!(2020/7/26現在、私は受け付けています。)

最後に。

いかがでしたでしょうか。
自分でまとめていて思ったのですが、結構注意点が多くて大変ですね…。
そうはいっても、実際この注意点にまつわる手戻りが非常に多いので、やっぱり注意してしかるべきなんだなあと思った次第です。
(私も声優さん外注するので気をつけよう…!)
皆さんも執筆、頑張りましょう…!💦

併せて読んで欲しい。

音声作品ライターに必要な6つのスキル。

Posted by 兎月りりむ。