【音声有】バイノーラルマイクって結局どれが良い?総額200万円マイク3台の徹底比較!

2022年4月12日

目次

 KU100、3dio黒耳…どのマイクで依頼すればいいの?

KU100を筆頭にもはや音声作品で当たり前になってきたと言ってもいいかもしれない、バイノーラルマイク。
「モノラル録音のダイナミックマイクやコンデンサーマイクは、音質で判断できるからわかりやすいよね」
「ステレオ録音のバイノーラルマイクは音質だけじゃなくて”本当にそこにキャラクターがいる感じ”がどれくらいあるかも重要らしい・・・」
「KU100が一番高いらしいのは知ってるけど、うちの音声作品にはKU100は必要なのかな・・・?」
「スタジオ、声優さんによって同じKU100でも音が違うように聴こえるし、比較しようがないよなあ・・・」

ですよね、めちゃわかります!!!!!
バイノーラルマイクオタクと化した私、兎月りりむ。も本当に悩みました。悩んで悩んで、総額200万円のバイノーラルマイク3台を買ってしまったほどです・・・!

\ドン!(お財布が絶命した音)/

買った瞬間の私の絶叫はこちら!(音量注意!!)

ということで今回は!!!
・音声作品タイトルにも名前がつくほどブランドがあるモアイ君 KU100
・作品名にはつかずとも、バイノーラル作品に多く使われている 3dio Free Space Pro Ⅱ(黒耳)
・静かなるブームを巻き起こしつつある新鋭国産ダミーヘッド SAMREC 2700Pro
の3台を[同じ収録環境x兎月りりむ。の音声]でもって徹底比較し、どれがどんな作品に適しているのかを勝手に解説していきたいと思います~!!!
※この記事はCien(兎月りりむ。)との同時投稿です

ところで・・・
「兎月りりむ。ってKU100持ってなかったよね?」
そうです。つい数日前までは持ってませんでした。KU100、買ってしまったのですよ・・・ふふふ・・・SAMRECというダミーヘッドを導入した直後にね・・・欲望にね・・・あらがえなかったんですね・・・

SAMRECの購入検討していたときに、KU100の音声を改めて漁りまくったんですけどね、やっぱり収録環境と声が違うと聴こえる音は全然違うので、あんまり比較にならなかったのが正直なところでした。
スタジオでKU100試しても機材と部屋は一緒じゃないし、KU100のレンタルは1日何万円もするし借りる手間も大変だし・・・とかなんとか思っていたので、購入欲は何だかんだ残っていたのですー。
(詳しくはCienのフリートークでもお話しますね❤)

ということで、スタジオを持たれている方や、マイク購入を検討されている方が私のような悩みを持たなくていいよう、しっかり比較しよう!というのが今回の趣旨です。
とは言っても、今回はマイクのカタログスペックを単純に比較するようなことはしません。初心者はカタログスペックの見方なんて分かりませんし、結局の所大事なのは「実際このマイクはどんな風な音なのか」「適した使い所はどこなのか」ですよね。
この記事は、「完全なる初心者だった頃の私が欲しかった解説ページ」を具現化したものになります。
“耳で聞いて直感的にどう感じるのか"をベースに比較していきますので、初心者の方でも安心な記事となっておりますよ♪

同じ収録環境、同じ声質、同じ台詞と演技で音声を録音してみました。
([同人音声.comにあるサンプルボイス]は、お手軽納品コースの音声補正・ノイズ処理をかけたVerですので、今回の音声とはまた違った聴こえ方になっています。)

ではどうぞお聴きください!!!!!!!!!!!!1

【動画版】

【WAV版】

※上下や前後(奥行き)といった音の臨場感、舐め音やキス音、複数の声質(キャラクター違い)での比較音声フルバージョンは、同人音声.com+PLUSにて公開中です!

<同人音声.com+PLUSについて>

同人音声.comを開設してから1年半・・・
たくさんのサークルさんから
「音声作品の制作のHowToと言えばコレ、活用してます!」
「同人音声.comを参考にして音声作品を初めて制作して世に出せました!」
という感謝の言葉をいただくことが増えました。

その一方で、
「基礎はバッチリになれた。けれど、たくさん売るという点についてもっと知りたい…!」
「他のサークルさんやユーザーさんが、どんなことを考えているのかわかったらもっと良いのに」
というご意見もたくさんいただくようになりました。

そこで、
「音声作品1本分の値段で、大ヒット作品が作れるコツを学ぼう!」
というコンセプトで、同人音声どっとこむよりも更に深く音声作品について考察するサービス、開設しました!
皆様のおかげで、本HPを開設したばかりの時と比べ、私もより多くの学びを得られたように思います。
せっかくなので、本HPにまとまりきっていない新たな知見を"クリエイターズサロン“という場で公開していく運びとなりました。

より詳細な比較音声を聴きたい方はこちら!

バイノーラルマイク3台を勝手にレビュー!

価格は1ドルあたり115円前後の頃のものです。為替相場の変動により、商品相場も変動する可能性があります。

NEUMANN KU100

市場本体価格:110万円
音声の明瞭感:★★★★
ノイズのなさ:★★★★★
音のリアル感:★★★
左右の表現力:★★★★
上下の表現力:★★
奥行き表現力:★★
マイク知名度:★★★★★
まとめ
ドイツ製の20年以上販売され続けている、バイノーラルマイクの最高峰。モアイ顔のダミーヘッドで有名。音声作品のみならずVTuber界でも使われているので、KU100という文字を見るだけでバイノーラルだとわかるユーザーさんも多い。発せられる声そのままが録音されるというより、少し味付けがなされた聞き心地の良い音になる。耳元で破裂音を発した際にはよく耳にする"KU100らしい"音が録れる。TVアニメで聴こえる音声に近い明瞭感のある音。機材代の分、使用費は一番高くつくが、安定の実績のもと、アニメっぽいキャラ感を出したいときにはオススメの一本。マイクによる音の味付けが非常にいい塩梅&ホワイトノイズが非常に少ないので、恐らく環境音の収録に最も適している(ような気がする)。ノイズ処理専門ソフト(RX7/RX8など)を使わずともある程度聞き心地の良い音なので、バイノーラルデータの中では編集は容易な方だと思われる。

SAMREC 2700Pro

市場本体価格:60万円+α(専用カスタマイズ費)
音声の明瞭感:★★★
ノイズのなさ:★★★★
音のリアル感:★★★★★
左右の表現力:★★★★★
上下の表現力:★★★
奥行き表現力:★★★
マイク知名度:★
まとめ
実は国産、近年発売されたバイノーラルマイク。ダミーヘッドがHATS型と呼ばれる、リアルなヘッドの形と首元-鎖骨あたりまであるのが特徴。この形のおかげで、今回比較した3種類のバイノーラルマイクのなかでは最もリアル感、音の臨場感がスゴい。まるで本当に話者がそこで話している感が得られるのはコレ。オタク系コンテンツでの実用例はほとんどないが、作品への没入感を強く出したいときにはオススメの一本。
SAMRECだけは耳とマイク部位のフルカスタマイズが可能という大きな特徴がある。可能性は無限大。ちなみに、"兎月りりむ。機"は私の声が最も綺麗に聴こえるようにした専用カスタマイズをしているので、デフォルト機とは若干音が異なる。現実で聞いている音に非常に近い音が録れやすいので、生々しい肉声を録りたければオススメ。(自然環境音(波、風など)は音の振幅が激しいので、場合によっては聞き心地が悪い音になるかも。)ノイズ処理専門ソフト(RX7/RX8など)を使わずともある程度聞き心地の良い音なので、バイノーラルデータの中では編集は容易な方だと思われる。

3dio Free Space Pro Ⅱ(黒耳)

市場本体価格:30万円
音声の明瞭感:★★★★★
ノイズのなさ:★
音のリアル感:★★
左右の表現力:★★★★
上下の表現力:★
奥行き表現力:★
マイク知名度:★★★
まとめ
アメリカ製のバイノーラルマイク。特に高音の切れ味が強く、人によって好き嫌いが分かれる部分となる。バイノーラル音声作品で「KU100」とついていないが音が綺麗だと感じるときはコレかもしれない。KU100とSAMREC2700Proと異なり、ダミーヘッドではない。その分、上下左右奥行きの表現力は弱く、本当にそこにいる感は薄れる。録れる音は基本的にかなり鋭利なので、歯擦音はキツめに収録されがち。所有しているスタジオや宅録声優さんは多く、使用費はKU100よりもリーズナブル。はっきりとした音をコスパ良く欲しく、左右の表現力さえあればOKなときにはオススメの一本。ただ、歯擦音に加えてホワイトノイズ・リップノイズが非常に乗りやすいので、ノイズ処理専門ソフト(RX7/RX8など)は必須レベルで欲しい。しかしノイズを除去しすぎると今度はバイノーラル感が驚くほど失せるので、その塩梅には要注意。実は編集上級者向け?

いかがでしたでしょうか?
音声作品のみならず、様々なコンテンツ制作でも活躍の幅が広がるバイノーラルマイク。
費用面のみならず、録れる音の明瞭さを優先するのか、リアル感や左右上下奥行き表現力を優先するのか・・・という比較項目も重要ですね。
そもそも、バイノーラルマイクに限らず人間の聴覚は左右の聞き取りはうまくできても、上下と奥行きの距離感を正しく認知する能力は構造上弱いと言われています。そのなかでもSAMRECのような上下奥行きの表現力も強いマイクもあり、うまく扱うことで現実の人の耳で聴いたときと同じような臨場感をもたらすことも出来るでしょう。

こうしてマイクの方向性を決めた上で、実際に収録するスタジオや依頼する声優さんの収録環境/声質により、最終的な音声アウトプットは変化することを考慮して、実際にどのマイクで依頼するのかを決められると良いのではないでしょうか!!