声優を選ぶ際に気を付けるべきことって?

2020年8月7日

「声優に選ぶ際に気を付けることってなんだろう?」と、あるサークルさんからお悩み相談をいただきました。サークル主、声優としての2つの立場の人から見て、教えてほしい・・・ということで、執筆しています!

お金が無限にあれば、ベテランの声優さんに依頼をどんどん出来ると思いますが、サークル立ち上げばかりだと、なかなか手が出ないことはよくあることだと思います。こういうときには比較的お安い単価の初心者声優さんに依頼しようと考えでしょう。

目次

初心者声優さんってどのくらいのレベルなの?

初心者の声優さんって、どのぐらいの知識と技術を持っていると思いますか?
ベテラン声優さんと違って、そのレベルは本当に様々だと思います。

私の場合は、活動したての時は「演技」だけを引っ提げて活動していましたから、聴力も未発達ですし、機材も今に比べると安価なものばかりでした。
演技はそこそこだけど、「収録機材」や「編集」については素人だったわけです。

高価な機材をつかっていれば聞こえていたはずのノイズも聞こえていなかったと思います。
編集のこともまったくわかっていませんでした。波形の見方すら知りません。
それでもなんとか収録をして、勉強を続けて、今に至ります。
ですから、取引先の方にご迷惑をおかけしたこともたくさんあります。
(今だって周囲の方のご助力に大変お世話になっています。)

驚きましたか?今となっては私も、「よくあのレベルで仕事してたな…」と正直思います。
けれども、必要な過程だったなとも思います。本気で収録関係に向き合ったからこそ、今こうしたお話ができていますから。

というわけで、初心者って経験者が考えるよりも、ずっとモノが分からないのです。
いきなり外国語を理解しなさいと言われて、あなたは理解できますか?
当然「obedience」をどう発音するかすら分からないはずです。
であるならば、初心者声優さんは演技以外の部分には疎くて当然なのです。

なぜここまで言い切るのかというと、私自身が声優友達に指導をしたことがあるからです。
「データ①は、データ②と比べると深刻なレベルでホワイトノイズが乗っているでしょう?」
と問いました。答えは、「大して差が分からない。」でした。
耳の鍛え方が足りないこともあるかもしれませんが、もしかしたら視聴環境がよくないせいかもしれません。
初心者って、多くの場合どこの世界でもこういうものなのです。

あなたの常識は、相手の常識とは限らない

ですから、外注をするのであれば、自分が「当然こうであるべき」と思っていることは、まったく常識ではないということも念頭に置いておくとよいと思います。例えばですが、「音割れをしないように収録すべき」というのは、初心者にとっては全然常識ではない場合もあります。
大きな声で歌うべきところは、とにかく大きな声で歌うべきと考えています。
そもそも音割れがなんたるかも分からないからです。だって、現実世界の音に音割れは存在しませんから。
もっと言うと、自分で収録した音声を聞かない演劇をする人には、ホワイトノイズは聞こえません。
彼らはクリックノイズのバチっという音が問題だとすら思いません。音質の良い悪いも分からないです。
なぜならば、「それらがどんな物であるか」を知らないからです。

自分の常識が相手にとっての常識だとは限らない、ということです。

(宅録)初心者声優とベテラン声優に依頼するメリットとデメリット!

とはいえ、これを読んでいる方はほとんどが初心者の依頼者さんだと思います。
当然、初心者声優さんとベテラン声優さんに依頼した時のメリットやデメリットが予想できませんよね。
ということで、一応2年はこの業界に身を置いた筆者が、自分なりの考えをまとめました。
ぜひご覧ください。

初心者声優へ依頼する場合…

■メリット
・比較的価格が安い。
・演技レベルは人それぞれ。(めっちゃ上手い人もいる!)
・受注状況に余裕がある可能性が高いので、納品が早い。
・余裕があるので依頼を受けてもらいやすい。
・目新しさ。

■デメリット
・収録データの扱いが未熟であることが多い。
・収録機材が安価であることが多い。
(自分の環境なら聞こえるノイズも、声優さんの環境で聞いたら微細なノイズは聞こえないかも)
・効果的な広告の仕方を知らない可能性が高い。
・身の振り方を知らないから、業者として深刻な問題を起こす可能性がある。
・ある程度教育に時間を割かねばならないかもしれない。
・手戻りが多い可能性が高い。

ベテラン声優へ依頼する場合…

■メリット
・高品質な収録データが手に入る可能性が高い。
・編集、販売面にアドバイスしてもらえる可能性が高い。
・販促に有利。(広告力が強い)
・声優個人についているファンの数が多い。
・膨大な出演歴から得た練度の高い演技をしてもらえる。
・業者として安心な場合が多い。
・手戻りの数が少なめで済む可能性が高い。

■デメリット
・比較的価格が高い可能性が高い。
・多忙なため納期が長めな場合が多い。
・出演数が多いため、目新しさに欠ける。
・受注キャパシティの問題で依頼を受け付けてもらえない可能性が高い。

このあたりが、それぞれのメリットとデメリットだと思います。
このことを心得ておけば、取引に対して
「こんなはずではなかった!」
と感じる頻度が大きく減ると思います。

依頼コストには「収録代+広告料+手間賃」が含まれている!

前項を踏まえると、依頼コストは「声優に払う収録代+広告料」に加え、「自分の手間賃」の合計で構成されていると言えます。
端的に言えば、ベテラン声優に依頼すれば「依頼する」以外の労力があまりかからない。
初心者声優に依頼するときは、「通常する必要のない編集の手間」や「手戻りの対応」「自分で広告に非常に力を入れる」をしなければならない可能性を孕んでいるということです。

需要と供給以上に、安いなりには安いだけの理由があり、高いのには高いだけの理由があると思いませんか?
我々のように依頼(発注)をかける者は、
・自分の懐事情
・持っている時間
・取引先によって変わるリスクの中身と大小
を天秤にかけて誰に依頼するのが、今の自分の環境にとって適しているのか考えてみるとよいでしょう。

最後に。

いかがでしたでしょうか?声優の選び方は依頼初心者の方は特に気になるところだよなあ、、、と思い今回執筆させていただきました。
「依頼をするのがいつも不安だ」なんて意見をよく見かけたので、少しでも助けになれればな…と思い、思い切って記事を考案しました。
少しでも助けになれたのであれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。